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甘く優しい温かみがあり、静寂を感じさせる香りを持つサンダルウッドは、古くから珍重されてきた香木。心に落ち着きをもたらす香りは香水のほか、お線香などにも用いられているので、親しみを感じるという人も多いでしょう。今回は、そんなサンダルウッドの香りの特徴やイメージ、サンダルウッドを用いた香水の上手な纏い方などを紹介します。
目次
香水にもよく用いられるサンダルウッド。その香りにはどういった特徴があるのでしょうか。
サンダルウッドの和名は白檀(びゃくだん)。太平洋諸島各地に分布する樹木で、香木には高品質で香りの強いインド原産のものが主に使用されます。寺院やお仏壇にあげるお線香にも広く使われているため、日本でも馴染みの深い香りです。また、宗教的な儀式や瞑想にも用いられることから、内面的な世界との結びつきが強く、神聖で神秘的なイメージを持つ香りともいえるでしょう。
ただサンダルウッドは、原産国のインドで絶滅危惧種に指定され、伐採・輸出に制限がかけられています。そのため、別の産地のものや近縁種、類似の香りを持つ別の植物が代替品として使用されているのが現状です。
サンダルウッドの木が特有の香りを放つようになるまでには、長い時間が必要です。少なくとも30年以上、より上質な芳香を得ようと思えば80年以上はかかるともいわれ、簡単に手に入るものではありませんでした。そのような歴史があり、サンダルウッドは数千年前のはるか昔から、貴重な香木として扱われてきました。
数あるウッディー系の香りの中でも、とりわけ落ち着きを感じさせる香りといえるのがサンダルウッド。その香りは精神面へ穏やかに作用し、不安感や緊張を和らげてリラックスする効果があるといわれています。
また、サンダルウッドの成分には肌に潤いを与える働きや、血行を促す働きなどがあると考えられており、化粧品に配合されることも少なくありません。
サンダルウッドの香りが持つイメージには、一般的にどういったものがあるのでしょうか。そのイメージを知れば、理想の自分を演出したい時に役立ちます。
重厚さを感じさせる甘さから、高貴な香りというイメージを与えます。実際にサンダルウッドは大変貴重な香木であり、かつては貴人だけが手に入れられました。その歴史も、高貴なイメージの裏付けとなっているようです。
また、サンダルウッドは、たおやかな印象を持つ嗜みである「香道」にも欠かせない香木なので、品のある香りのイメージを持つ人も多くいます。
その深みと落ち着きから、サンダルウッドにはクラシカルなイメージが漂います。それだけに、身に纏うと少し古めかしい印象になってしまう場合もありますので、香水の選び方には注意が必要です。
各種香料とのコンビネーションにより、現代的な印象の香りに仕上がっている香水を選べば、時代を問わないサンダルウッドの普遍的な魅力を存分に楽しめるはずです。
寺院やお仏壇にあげるお線香のほか、白檀製の扇子、和箪笥に収められた匂い袋など、日常生活と接点の多いサンダルウッドの香り。日本建築や和の文化がより身近だった時代を思い起こさせる、親しみ深い香りなのではないでしょうか。そうした背景を持つため、サンダルウッドの香りは和のイメージとつながる傾向があります。
とはいえ組み合わせる香料次第で香水の印象は大きく変わるため、サンダルウッドが使われていれば、すべて和風のイメージを持った香りになるというわけではありません。
香りの感じ方には個人差がありますが、「うっとりするような」と表現されることも多いサンダルウッドの香りを官能的と感じる人も少なくありません。深いリラックスへと導く働きから、古くは媚薬として用いられてきたという歴史もあります。
瞑想にも用いられることがあるサンダルウッドの香りは、心が鎮まり穏やかになると感じさせる、自身の内面と向き合う時間に適した香りともいえるでしょう。
甘い香りではあるものの、華やかというよりは落ち着きのある香りなので「静」のイメージを持たれることが一般的です。
宗教儀式に用いられるケースが多いこと、年月を経るほどに熟成して深みを増していく香りを持つことなどから、サンダルウッドの香りには神秘的なイメージもあります。
また、単なるイメージだけではなく、実際に直感やインスピレーションを高める作用があるともいわれています。
サンダルウッドはアジア地域に根ざした香りであることから、西洋から見たオリエンタリズムがそのまま異国的なイメージへとつながり、エキゾチックな香りと表現されることも多いです。
そのイメージを活かし、サンダルウッドはオリエンタル調のフレグランスにもよく使われています。
香水に用いられる際には、ローズ、ジャスミン、シダーなどさまざまな香りと組み合わされることも多いサンダルウッド。その香りはどのような効果を与えるのでしょうか。サンダルウッドの香りを身に纏う時のポイントとあわせて紹介します。
重厚で存在感のあるサンダルウッドの香りは、ほんの少量を香水にブレンドするだけでも香り全体に奥行きや深み、厚みを与えます。しかしそれは裏を返すと、使い過ぎれば香り立ちがずっしりと濃くなる恐れがあるということ。
しっかりと香らせるイメージで使うと重たい印象になる可能性が高いので、アクセント的な使い方で上品な印象を与えるのがおすすめです。
香りの持続時間が長いのもサンダルウッドの特徴。加えて、濃厚な香り立ちであることから、つけ過ぎには注意が必要です。あくまでほのかに香らせることを意識しましょう。この注意点は、身に纏う香水だけではなく、ルームフレグランスについても同様です。
組み合わせる香料にもよりますが、サンダルウッドを加え、甘く官能的なタイプの香りに作り込まれている香水の場合、基本的にイブニングタイムでの使用が想定されています。つまり、日中にオフィスなどで纏う香りとしては、あまりふさわしくないと考えられますので、身に纏うのは日が傾いてからがおすすめです。
もちろん、香りに深みを加える目的で、ごく微量のサンダルウッドが用いられている香水はこの限りではありません。香りの種類にあわせて、TPOに配慮した香水使いを心がけましょう。
降りそそぐ陽射しやしなやかな花をイメージしたオードトワレ。
明るさのなかに優雅さや落ち着きをあわせ持った香りは、世代やライフスタイルを超えて女性の感性にフィットします。
ネロリなどの爽やかでフレッシュなトップノートから、ローズやガーデニア、ジャスミンといった繊細な甘さや気品ある華を持つミドルノートへと変化し、やがてバニラやサンダルウッドの温かみのあるアンバーなラストノートへと移ります。包み込むような優しさや、豊かな広がりを感じさせる香り立ちを楽しみたい方におすすめです。
長い歴史の中で、古くから人々の心を強く惹きつけてきたサンダルウッドの香り。その神秘的で気品溢れる香りは、、さまざまな香水に用いられ、今なお私たちを魅了しています。サンダルウッドの魅力を香水で纏い、あなたをもっと輝かせましょう。